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☆だんだらだらだら☆

記憶力がないアラサーのブログ。演劇/ミュージカル/宝塚/歌舞伎/映画/美術館/フィギュアスケート/JAZZ/大阪万博/食べ歩き/カメラ(OM-D E-M10 mark2) などの話題。

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2016.02
23


22:00
番附に去年の公演一覧が載っていて、
鴈治郎襲名、絵本合法衢、OSK、阿弖流爲と、
松竹座にはいつも以上に通っていたことが判明。
でも絵本合法衢とかもはやまるで覚えていない(白目)
(むしろ学生時代に国立劇場に遠征して観たバージョンの方が覚えてる)

今回はとっても印象に残る舞台でした。
(といっても脆弱な海馬なのであと1ヶ月もしたら忘却の彼方)
以下、簡単な感想です。

一、桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)
帯屋
帯屋長右衛門:坂田 藤十郎
丁稚長吉/信濃屋娘お半:中村 壱太郎
義母おとせ:坂東 竹三郎
隠居繁斎:中村 寿治郎
弟儀兵衛:片岡 愛之助
長右衛門女房お絹:中村 扇雀

謹直な男の一夜の過ちが人生の歯車を狂わせ悲劇へと…上方歌舞伎の秀作
 京都の町中にある呉服店「帯屋」の主人長右衛門は、商用で遠州に出掛けた際、
ひょんなことから隣家の信濃屋の娘お半とわりない仲になってしまいました。
それを知った義母おとせとその連れ子の儀兵衛は、
五十両紛失の件も塗りつけて長右衛門を追い出そうと企みます。
意地の悪い継母と義理の弟の嫌がらせに耐えながら店を守る長右衛門。
女房お絹の気遣いと父繁斎の寛大な捌きに一度は助けられるのですが…。
律儀で分別もあり男盛りの魅力と色気が災いし、
悲劇へと導かれる様が巧みに描かれている上方狂言。



二、研辰の討たれ(とぎたつのうたれ)
守山辰次:片岡 愛之助
平井九市郎:市川 中車
平井才次郎:中村 壱太郎
吾妻屋亭主清兵衛:片岡 松之助
平井市郎右衛門:嵐 橘三郎
粟津の奥方:市川 笑也
僧良観:坂東 秀調

職人上がりの侍が知恵を振り絞って逃げる!異色の敵討ちの結末は…
泰平の世の粟津城中。
殿様や家老の刀を研いだのが縁で町人から侍に取り立てられた研屋の辰次がいます。
上役に媚びたりお追従を並べたてる辰次に朋輩の侍たちは我慢を堪えていましたが、
聡明な家老、平井市郎右衛門は余りに鼻持ちならないので、
皆の前で辰次を激しく罵倒し去っていきます。
悔しくてならない辰次は意地とばかりに市郎右衛門の帰城を狙い、だまし討ちに。
そこへ、平井の長男九市郎と次男の才次郎が駆けつけてきますが、
敵討ちを恐れる辰次は逃げ去り、九市郎と才次郎は敵討ちの旅に出るのでした。
それから3年が経ち、ついに兄弟は辰次を捕えますが…。
江戸時代の武家社会で美徳とされた敵討ちを近代的な視点で捉え直した斬新な作品です。


三、芝浜革財布(しばはまのかわざいふ)
魚屋政五郎:市川 中車
大工勘太郎:中村 亀鶴
左官梅吉:嵐 橘三郎
金貸おかね:中村 歌女之丞
大家長兵衛:片岡 松之助
姪お君:市川 笑也
政五郎女房おたつ:中村 扇雀

これぞ江戸前。胸のすくような楽しさと情。笑って泣かせます!
ひとはいいのですが酒好きで怠け癖のある魚屋政五郎は、
ある朝、芝浜海岸で大金入りの革財布を拾います。
しめたとばかりに仲間を集めて大酒盛り。
ところが、一晩寝て目覚めると女房のおたつは、夢でも見たのだろうと取り合わない。
反省した政五郎は自戒の念から一念発起。
酒を断ち生まれ変わったように働き始めます。
そして3年の月日が経ち…。
人情噺を元にした、笑いあり、涙ありの作品です。
まず最初の演目。
番附みて、ドンビいた。(↑よりも生々しい)
いやいや過ちすぎだ、と。
早い話、ただのロリコン男の話なのですが、
そんなどうしようもないダメ男を風情ありげに美しく見せるのが和物ですね。
絶賛放送中のNHK「ちかえもん」を撮りだめていて、そこにも曽根崎心中の徳兵衛が出てるらしいですが、
「曽根崎心中」も「封印切」も、心中ものではないけど「女殺油地獄」も、
みんなどうしようもない許しがたいダメンズたちですからね…。
(「ちかえもん」の徳兵衛は小池徹平なのであの可愛さなら許せる気も)
しかし、そんなだめんずを藤十郎さんがやると、物憂げで、悲哀の眼差し。
・・・騙されそうになる。
他の役がやんややんやと騒いでる中、じっと耐えてるシーンが多いんですよね。
実際にお半が出てくるのは最後だけなので、
それまではずっと大きなアクションのないまま、
ずっとお半との関係やそのために消えたお金やらについてグチグチ言われていて。
ずっと受け手で、ひたすら耐えて、お半と一瞬の逢瀬の後、心中へ。
しかも心中の約束をしたわけでもなく、
お半の気持ち(死ぬ覚悟)を文で知って急いで駈け出すところまで。
こうやって、文字にすると、なんか、ださい。
思いっきりその雰囲気は逢瀬の時から出してるので、気付いたれよ、と思いつつ。
でも最後のたっぷりとした、花道引っこみ。
悔しいほどに、なんて絵になる!
これぞだめんずをイケメンに変える和事マジック★

藤十郎さん、もちろん雰囲気は抜群で、足腰はしっかりしてらっしゃったけど、
1階で見ていてもかなり声が聞きづらく、みんな耳をそばだててた。
愛之助は義理の弟役。三枚目キャラ。
竹三郎さん(何と今年年男とのことで御歳84歳に!)が愛之助の実母。
息子と一緒になって藤十郎さんをいじめる意地悪なお母さん役でした。
憎々しい!
そして今回のMVP壱太郎!
三枚目的な鼻垂れ丁稚とお半の二役。
前半の丁稚は愛之助におちょくられながらもいつの間にかやりこめる良い役。
動きは間延びしているものの、台詞のテンポ感がよく、愛之助がかすむほど!
こういう役もできるのか。
後半のお半は一転して可愛らしい。
化粧や表情もどんどん進化してますねー。

次はとぎたつ。
野田版も気になりつつ初見。
新歌舞伎なのでかなり見やすかったです。
愛之助が、口が達者なのを武器に、我が身可愛いさだけで生きてる武士とぎたつ。
奥方様(笑也、珍しくかまなかった!)も思わず騙されてしまう程、上にはいい顔をするが、
とにかく、うざくて一言余計で、同僚にいるとかなりめんどくさいタイプ。
歌舞伎では、忠義や面目の為に自分を押し殺して生きているキャラクターが多い中(少なくとも建前上は)
このキャラクター、かなり異彩。
シチュエーションも変わってて、仇討ちを討たれる側を主役にしたお話。

面白かったのは、親の仇のためにとぎたつを追う兄弟、中車と壱太郎。
中車=香川照之さんです。
今回もう1人のMVPは中車さん。
前に見たのは襲名時の「小栗栖の長兵衛」。
彼にできる役を何とか探し当て、みんなそれに付き合ってる感じだった。
普通の舞台経験すらない役者さんなので当然ながら、声や動きや目線、全ておかしかった。
でも、この数年の時を経て、普通に歌舞伎役者に数え上げられてた。
今回、藤十郎さんは別格枠として、愛之助と2トップ扱い。
半沢コンビでもあるし、集客的な意味合いが強いのはもちろん織り込み済み。
いやでも、普通に昼夜2トップ中心に回してる。
あの香川照之が歌舞伎界で主戦力として扱われてる。
それってすごい。
普通に歌舞伎の台詞を喋り(猿翁さんにそっくり)、凛々しく花道を渡り、
なんなら殺陣もやって、しっくりきてる。
す、すごい。
客席でも愛之助を追い回す中車と壱太郎。
往生際の悪いとぎたつ。
土下座で許しをこう愛之助。
中車に、土下座が得意なのはあなたなのでは?と、
おきまりの半沢ネタに客席もどっと湧く。
あの香川照之が歌舞伎をやってるんだ・・・!(しつこいよ)
一瞬一瞬が新鮮な驚きと実感の連続だった。

そして、壱太郎が珍しい立役(こういう役だと目玉おやじっぽい声音じゃなくなるんですね)で、全力投球!
仇討ち騒動に群がる見物人に「うるさいんだよー!!」と食ってかかる。
愛之助との息の合ったやり取りも微笑ましい。
そんなファニーな部分もありつつ、周りから囃し立てる世間の人たち(世論)の無責任さが怖い。
双方の行動にいちいち反応しつつ、どちらが正義かジャッジが揺れ動いた挙句、
最終的には許してやれよ、となるが、
いざ生き残ったとぎたつ(自分は犬とまで言ってなりふり構わずプライドも捨てた)を、
あからさまに軽蔑して、無視。
そういう仇討ちを外から眺める、そしてジャッジしようとする視線も新鮮で、面白かった。
あ、ちなみに、その群衆の中のお茶屋さんの女形さんが可愛かった(そういうのはめざとい)
結局、仇討ちをやり遂げた二人もめでたしめでたしの表情ではないし、
いつも何の疑問も挟まれず、淡々と進んでいく仇討ちものとは一線を画す、ポスト仇討ちものでした。

でも、一番面白かったのは、大詰じゃなく第2場だったりする。
トントンカンカン舞台を作ってる音がかなり激しく、
挙句大道具さんの人のどなり声まで聞こえ始めてかなり時間のかかった転換。
どんなセットなんだろうと思ったら、峠を渡る畚(ふご)が。
実際に人が乗って左右に移動。
で、お互い畚に乗った愛之助と中車が向かいからばったり。
共に気づいて斬り合いになり、中車が落ちる。
(これ、本当に片側の縄だけ切れてぶらーんとなってから落ちるので怖い)
そこで暗転。終了。
合計3分ほど。
思わず暗転の瞬間、えー!て叫んでしまった。
歌舞伎、すげえ。
この3分やるためのトントンカンカン…(ちなみにこの暗転後のトントンカンカンもやたら長い)

ラスト、芝浜は中車さんが芯。
人情味あふれる夫婦愛のお話でよく合ってました。
江戸弁にも挑戦。
やはりまだひとつひとつ石橋を叩きながら進めている感じで、テンポ感がゆったりなので、
まだ気っ風のよさみたいなものは感じられないものの、時代感はよく出てた。
あ、あと、「…だなぁ」っていう台詞がよく出てくるけど、それが単調で、
スギちゃんめいてたので気になったぜぇ~。(おちょくるな)
扇雀さんも姫系より生活感にじみ出てる方がよく合うキャラクターなので、
こういう苦労役がとっても良かった。

***
というわけで、かなり気軽に見やすくて楽しい三本立てでした。
そして、あまりこの言葉は使わないようにしてるけど、
二人の若手の熱意と成長に「感動」を覚えた舞台でした。

同年代の中でも目を見張る成長度の壱太郎。
若手ならでは、全てに対して(笑いも)貪欲で、全力投球で、熱量が高く、思わず目がいきます。
女形に立役に、どんどん活躍して、上方歌舞伎を引っ張ってって欲しいですねー!
中車さんはさっきも書いたように、いつの間にか馴染んでる面白さ。
ワイドショー的には彼が歌舞伎界で上手くいかず、つまはじきにされる方が面白いのでしょうが、
今こそテレビで取り上げて欲しいです。
あの香川照之が普通に歌舞伎の舞台に地道に立ち続けてること。
去年末には玉三郎さんの勧めで女形もやってる。
正直一応名前だけはもらいつつもここまでレギュラー的に出るとは思ってなかったので、
そしてこの数年でここまでなじむとは思ってなかったので、本当に嬉しい驚き。
三津五郎さん、勘三郎さんと50代の名優を失った大きな穴が、
また別の形ではあるかもしれないけど、ほんの少しずつ埋まっていくような。
本当に、不思議な巡りあわせだなぁ・・・。
恩讐のかなたに、予期しない歌舞伎の歴史が刻まれていく。

松竹座、次の歌舞伎は3月『ワンピース』。
平息子が出るのでかなり気になってますが、観に行けるでしょうか。。。
博多座はまだチケットに余裕があるようです。

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