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☆だんだらだらだら☆

記憶力がないアラサーのブログ。演劇/ミュージカル/宝塚/歌舞伎/映画/美術館/フィギュアスケート/JAZZ/大阪万博/食べ歩き/カメラ(OM-D E-M10 mark2) などの話題。

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2016.10
24


22:00
ほっくんのさよならに行ってきました。(だいぶ前)
以下、簡単な感想です。

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宝塚でもよく描かれる幕末~明治維新以後を舞台にしたこの作品。
西南戦争という新鮮な目の付け所に、
ほっくんらしさ、さよなららしいエピソードも盛り込みつつ、
想像以上に、吉正が本気を出していた。

前半はぶつぎれのエピソードが並べられるだけで大丈夫…?とそわそわ。
『るろうに剣心』的な時代間の溝(江戸~明治)、
『星逢一夜』的な中央と地方間のひずみが縦軸、横軸になっていて、
後半は加速度的に盛り上がる!
ただし、1本ものかと思うほど手を広げすぎていて、
登場人物もそれぞれのエピソードも多くて収集が大変。
妃海さん、綺咲さん達の恋愛パートがなおざりになってしまっていたり、
ほっくんと紅さんのそれぞれの位置づけがわかりづらかったり、
その辺りはもう少し丁寧に観たかったなと思いました。

あと、劇構造として、この物語が、
「昭和維新」として五・一五事件で暗殺される犬養毅の走馬灯のような、後日回想として描かれていて、
繰り返される「歴史」というもののうねりの大きさを感じさせるいい演出なのですが、
冒頭の最晩年の犬養毅と、
モブっぽく出てきた割に、いつの間にか西南戦争まで記者として参加している、
瓦版売りの青年が同一人物っていうのは、
語り手になるには余りにも主要人物と関わっていなさ過ぎて、ちょっと無理があるし、
麻央侑希さんにその余白を埋める力もない。

あとは、「〜でごわす」」的なわかりやすい薩摩弁だけじゃなく、
かなりがっつりひとつひとつの単語まで全編ごりごりの薩摩弁に置き換えているので、
結構聴き取れなかったりする。
(しかも、雰囲気伝えるために冒頭だけ、とかじゃなく全編)
これは今回の売りで、宝塚ではなかなか味わえない土着の雰囲気が伝わるのも確かで、
後半、かなりぐっときたものの、お客さん置いてきぼりで不親切ともいえるかな。

演出的には、吉正作品ではいつも凝ってるオープニングもいたって普通で、
特に前半は暗転、真っ黒幕前が多くて、演出までおっつかなかったのかなという印象でした。
あと、ちょっと全体的に音楽とか軽めで、
薩摩兵児たちが銀橋に居並ぶとか渋めのカッコいいシーンが、
2,5次元イケメン芝居風になってしまってたりするのも、
脚本で目指すところとずれてない?と思いました。
あと、ことあるごとにばっさばっさ踊り狂って去っていくトリに気が散ってしゃーない。
(ファンタジックなのかマッチョなのかわからない鳥)
最後の立ち回りはカッコよかった!

演出はともあれ、今回の肝は後半部分の脚本。
ラストシーンでとってつけたかのようにサヨナラをごりおししまくる退団作品が多い中で、
ほっくん、美城れんさん、そして時期トップの紅さんへの愛情に溢れた「はなむけ」になっていて、
よしまさ、やるやん!(どこまでも上から目線)となりました。

サヨナラ公演は往々にして旅立ちをイメージさせることが多いけど、
この作品はむしろ男役 北翔海莉への葬送曲のようだった。
簡単な道のりでトップになったわけじゃない、
持ち味やビジュアルだって、今の宝塚では異色の存在。
自分は時代を間違って生まれてきた侍、季節外れに咲いた桜のようだ、と笑うほっくん。
もう本当にほっくんそのものなのだ。

スタイリッシュなカッコよさじゃない。
薩摩から中央政府に出るのに、やっぱり故郷を捨てきれず、薩摩のために戦う義。
それはともすれば芋っぽさだったりするのだけど、
でも、その温かみと豪快にがははっと笑う姿に引き込まれる。
シャルウィで壮氏がスーツで通勤バッグ持っててこれできるのこの人くらいやわと思ってたけど、
くわ持って銀橋渡れるのもこの人くらいですわ。
そんな男役人生を全うする哀しみと、でもそれ以上の確かな充実感と誇り。
最後にパルファン(香り)を託して去っていくのが、何とも。

「歌うまいから、ガイズね」的な安直な当て方じゃなく、
これこそ座付き脚本家がいる意味だと思った。
これほどまでにほっくんのサヨナラに見合った作品はなかったでしょう。
吉正、やればできる子。
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