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☆だんだらだらだら☆

記憶力がないアラサーのブログ。演劇/ミュージカル/宝塚/歌舞伎/映画/美術館/フィギュアスケート/JAZZ/大阪万博/食べ歩き/カメラ(OM-D E-M10 mark2) などの話題。

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2016.10
25


22:00
『マイ・フェア・レディ』、旧演出、リボーン版を通じて初観劇でした。
以下、簡単な感想です!
子供の頃、映画版を楽しく見た記憶があったのに、
大人になって改めて見たら、ヒギンズがクソすぎて(すみません)、
「全世界の女性が憧れるシンデレラストーリー」では全くなくて、
そもそもハッピーミュージカルとも思えなくて、
後半はチベットスナギツネのような目で見てしまった

イライザという「無知な女」を「学のある男」ヒギンズが教育し、
貴婦人に生まれ変わらせる話だけど、
ヒギンズにとったら、階級というより、
女全般が無知で、頭空っぽで、感情的に喚くどうしようもない存在。
イライザは、教育によって手に入れた美しい言葉で的確に、
自分の置かれた状況やヒギンズの心境を言い当てるけど、
ヒギンズにとっての言葉は他人を理解するためでなくて、ただの研究材料にすぎない。
女性蔑視はもちろんの事、価値観合えへんわ、これ。
この世界にローラ@キンキーブーツをぶちこみたい衝動。

ラストシーンで、イライザが帰ってきて、
わたしのスリッパは?とヒギンズが尋ねるところ、もう最高にスナギツネ。
これはハッピーエンドじゃなくバッドエンドでは…とアラサーOLは感じました。
もっと人生こなれてくると違う見方ができると期待しつつ、
今はもうこれをハッピーととらえられる心の余裕なし。
女の話す「音」しか興味がなくて「内容」は全く無意味だと考えてるから、
あの蓄音機から聴こえてくるのは意味をなさないただのノイズなんだろう。
最後にそれを愛おしそうに聞いてるけど、絶対根本的には変わってなさそう。
まぁ、せいぜい、的確な言葉のパンチを繰り出すイライザに打ち負かされとけ、と呪いました。

ウエストエンドの新演出版は、
ラストシーンでスリッパのくだりの時に、イライザが腕組みして睨んだ後、
2人で大笑いに変更とパンフに書いてた。
時代を鑑みてということでしょうか。
せっかくのリボーン版ならその辺りも洗い出して欲しかったなぁと思います。

今回のイライザは2人ともビル経験者だし、
改めて『ミーマイ』とセットで楽しめる作品と思いつつ(ジョン卿の台詞でピッカリング出てくるし)、
『ミーマイ』の方があたたかな世界観でハッピーミュージカルらしい。
教育する、される側が男女逆転してること、ジョン卿がいいヤツなのが大きいかな。
イライザ、ジョン卿と出会ったら幸せになれたのに…(マリア度外視)
まだフレディの方が、ありのままの彼女に興味を持って愛してくれてる感あるのにな…。(しつこい)


というわけで、色々と思うところのあったヒギンズ(寺脇康文さん)。
『マルグリット』でもそうだったように、身のこなしも雰囲気も紳士ではなく、
言語学者なのに言葉も明瞭ではなく知性も感じられず、
おまけにアドリブというかもはやダンス?でおふざけが過ぎて、
もはや知的階級というよりそこらのおっちゃん化していて、
イライザが好きになる理由がわからない…。
うーん…。コメディというところで頑張って笑いに繋げようという意識も働いているのでしょうが、
苦手な内輪な笑いで、テンポ感が淀むだけのような気がしました。
新演出版のミソであるはずの江戸弁矯正の発音練習も、
脱線の方に重きが持って行かれ、肝心のこっちが活きていない。
品のある広い額のとこ、もっと面白くなりそうなのに…。
ピッカリングも台詞が明瞭でなく、
あえてミュージカル畑でないキャスティングにしたのがよくわからなかった。

イライザは退団ぶりのまとぶんで観ました。
ミュージカルのヒロインという輝きや浮き出し方は弱かった。
みんなから愛される下町の娘という雰囲気は出てて、特に前半は良かった。
後半はその持ち味が消える分ちょっとトーンダウンしてしまったのが残念。
歌は、高音は不安定なものの、男役の時を考えると見違える程クリアで、
「男役歌唱」が苦手だったんだな、と思った。

ドゥーリトルの松尾貴史さんは芝居のトーンがミュージカル畑と噛み合わないところもありつつも、
元々のええ声を活かして、ナンバーを2曲。
マイフェアがミュージカル初出演ながらプリンシパルの中で1番ミュージカルらしい声を持っていて、
歌い上げ系の歌じゃないものの、ミュージカルらしくアンサンブルと一緒にダンスもまじえて盛り上がりました。
逆に歌い上げ系で苦戦していたのがフレディ(水田航生さん)。
古き良きミュージカルのごまかしが効かない王道バラードを歌うにはあまりにも心許なかった。
青年貴族というイメージも薄く、ゆとり世代!て感じで、ふにっとしてた。

ピアス夫人の寿さんはさすが。
ああ、やっぱりぴっしり締まる。
けして誇張した芝居ではないし役どころも地味なのに、スケールが大きさが滲み出る。
空気の流れを変えて、舞台作品としての安心感を生む。
『レベッカ』、『エリザベート』に続いて、際立つお芝居でした。
ヒギンズママの高橋惠子さんも品があり美しかった。
フレディママの麻生かほ里さんは埋もれ気味だったかな。
王道ミュージカルなのに、キャスト的にはごりごりミュージカル畑が少ないので、
ミュージカル味が薄く、ちょっとちぐはぐの部分もありました。

今回一番感動したのはセット!(舞台美術古川雅之さん)
オーバーチュアで、花売り娘に扮したダンサー(石井亜早実さん)が、
ヒギンズ教授の家の前から室内、街中までスピーディーに転換していく中、
ところせましと踊って、イライザ登場シーンにつながるという粋な演出。
個人的にはここがハイライト。

本編に入っても、ヒギンズの書斎からドゥーリトル行きつけのバー、アスコット競馬場まで、
緻密で品があって重厚感があるのに、転換が恐ろしいまでに軽やか!!
古典ミュージカルらしいゆったりしたテンポ感をここでしっかり巻き返す。
これぞミュージカルの鑑というべき、暗転なしの滑らかな舞台転換でした。

2013年初演時のインタビュー(セットデザイン画見れます!)通り、
「鳥かご」とか「ドールハウス」とか確かにフェティッシュなイメージがあって、
いくつものレイヤーが世界を創りだす立体切り絵とか仕掛け絵本とかにも似てるなと思いました。
もちろん作品内容や劇場の規模感によって向き不向きはありますが、
レベッカとかベスみたいに大きいセットドーン、以上!とか、とにかく数で勝負というよりも、
こういうパーツを効果的に組み合わせたセットや転換が上手くかみ合った時のパワーたるや!
初めて理想形を見た気がした。
しかも、G2さんと古川さんというごりごりのミュージカル畑じゃないクリエイター陣がやってのけているのって、
まじで、ミュージカル界がんば、って感じですね。
あと、こういう時こそバックステージツアーやってほしかったな。
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